「いい写真が撮れたわよ。見るからにラブホテルで寝てるって感じの写真」
「ももも、目的は何だっ!」
「さあね」
「よこせっ!」
サオリはデジカメを身体の後ろにさっと隠す。
「これをネットで会社にばらまきましょうか」
「───!」
「みんな何て言うかなぁ」
「……」
「まさか佐々木さんがって言うかなぁ、それとも佐々木さんやっぱりって思うかなぁ」
「やめてくれ!」
「奥さんに送っても面白そうね」
「ひいッ」
「離婚されちゃうかもね」
「馬鹿なこと言ってるんじゃない。カメラをよこせ!」
サオリはカメラをバッグにしまうと、小走りに出口のところまで行ってドアノブに手をかけた。
「まさかフルチンで廊下に出るわけにいかないでしょう? フフフ」
「……」
「あなたも昔、同じことしたんじゃないの?」
「はぁ?」
「まだわからないの? 私に見覚えない?」
「え……」
「高校生のとき、あなたに毎日犯されてた裕美よ」
「あーーーッ!」
裕美……佐々木が友達の横井と前田と3人でおもちゃにしていた女だ。
もともと4人は友達同士だった。
ある日、一緒に試験勉強をしていたら、薄着の裕美に急にムラムラきた。
その勢いで男3人で裕美を犯してしまったのだ。
写真を撮り、ばらまかれたくなかったら言うことを聞けと言って脅し、毎日屋上や誰かの家で犯していた。
何しろ裕美とヤるまでは童貞だった佐々木たち。
とにかく裕美とヤりまくった。
まさにやりたい放題。
『いつでもやらせてくれる女』だと言って、全く知らない男を連れてきて仲間に加えることもあった。
行為が終わると、裕美はいつも泣いていた。
しばらくたった頃、裕美は突然転校し、それからどこで何をしているかは全く知らないでいた。
あれから10年。今度は逆に自分が写真で脅されている……。
「あれ以来、私は男性不信で結婚もできないのよ。言い寄ってくる男はいるけど、セックスはできても気持ちが受けつけないの」
「裕美……」
「興信所を使ってあなたの住所や会社を調べたの。行きつけのお店を探して、張ってたのよ。今日やっとそのチャンスが来たってわけ」
「すまなかった……。いくら謝っても許してもらえないだろうが、会社や家庭に写真を送るのはやめてくれないか。子供だっているんだよ……」
「へえ。ますます面白そうね。ククク」
「そんなこと言わないでくれ。俺が悪かった。このとおり謝る」
「今さら何言ってるのよ! こんなんじゃ甘いぐらいだわ」
「うぅ……」
「じゃ、さようなら」
「くそっ! 横井と前田に教えないと……」
ベッドで腰を抜かしている佐々木に裕美は冷たく言い放った。
「もう横井君と前田君は済んでるの。あなたが最後の一人だったのよ。じゃあね!」
脱力した佐々木を残し、裕美は部屋を出て行った。
ヒールの音がだんだん遠ざかっていく。
◇End◇
